無常

診療所の患者さんがなくなった。土曜日、日曜日と街のうわさでは聞こえていたのだが、まさかそんなはずは、という気持ちと、確かめるのが怖い気持ちとで確認しなかった。
一人暮らし。お風呂で急死だった。やさしい人で、笑顔がよくて、みんなの人気者だった。花見酒を楽しみにしていたのに。人が一人でもおらんようになるのはさびしい。でも、私はまだ生きているから、生きていくのだ。