立場

数年前、こんなことがあった。
たまたま知り合った脳性麻痺で一人暮らしをしている男性と話をしていた。すると、うちの母の仲のよい友人が昔勤めていた施設に子供のころいたことがわかった。そこで、全盲のマッサージの○○さんは知っているかとたずねると、うん、と言った。そしてそれきり彼は無言になった。
思い出したくない示説暮らしを思い出したからなのか、過酷なリハビリを思い出したのか、その人と合わなかったのか、どれかはわからない。母の友人は私も昔から付き合いがあるけどきつい人ではない。でも、肢体障害の人にとっては、盲人であれマッサージ師は「あちら側」の人なのだ、ということを初めて感じたのだった。「治る」ことが無条件によいことなのか、それは患者さんとの同意の上でのことなのか、私らは敏感になる必要があると思った。